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(21)~(30)

2016年7月 3日 (日)

(30)「蝦夷延胡索」(エゾエンゴサク)

エゾエンゴサク(蝦夷延胡索)(ケシ科) 花期4月下旬~5月ごろ

 

エゾエンゴサクは、牧草地、林の中、道端、どこにでもある。時には大群落になる。

大群落は、さながらブルーシートを敷いてあるのでは?と、思うぐらいだ。

 

子供の頃は、この花を「雨降り花」と、呼んでいた。

この水色が「雨」を連想させたのか。

 

蜜があるからか、蜂がよく来る。

エゾオオマルハナバチ、アカマルハナバチの中に混じって、お尻が白いセイヨウオオマルハナバチが来るようになった。

2007年には、まだ稚内では この蜂を見たことはなかったが、翌年の2008年からは びっくりするほど多く発見されている。

 

セイヨウオオマルハナバチは、旭川や十勝地方のトマト農家が受粉のため外国から移入したもの。

それが、逃げて ついに稚内の方まで飛んで来たらしい。

それが・・・それを見つけ出すと あれよ、あれよ、と言うぐらい目にとまる。

もう、営巣現場も見つけることになり、今は在来蜂(マルハナバチ類)よりも多いくらいだ。

巣は、ネズミの古巣を使うことが多く、どちらかといえば人家に近いところに多くいる。

 

春の女王蜂は、エゾエンゴサク、ナナカマドの花に。

夏になると働き蜂は、ハコネウツギ、秋の新女王は、ガクアジサイ、ムクゲに。

 

外来種の繁殖力は、ものすごい勢いだ。在来の蜂たちの生態系にも影響しそうだ。

たまに、お尻が茶色のエゾオオマルハナバチを見つけると嬉しい。

在来蜂、がんばれ!

 

(俳誌 樺の芽 2016.7月号)

写真(1)エノエンゴサク(稚内市)

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写真(2)セイヨウオオルハナバチ(稚内市)

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2016年5月 1日 (日)

(29)「李」(スモモ)

スモモ(李)(バラ科) 花期5月~6月ごろ

スモモは、日本古来のものかと思っていたら 中国から来たものだそうだ。 それも、江戸時代よりも古くから。

「長英逃亡」(吉村昭)の、高野長英が、福島と米沢の間にある「李平」に「スモモの花見」に行く大店の一行に紛れ込み 通交の番所を通り抜けたことを書いてある。

「桜の花見」ではなく「スモモの花見」、これに私は驚き、心の中に 強く残っている。

私の子供の頃、スモモは、農家の敷地には、必ずと言っていいほどあった。 それは、食糧難の時代に「実」を食用にしていたのか、と思われているようだが、梅漬けのように漬けていたことはない。

スモモは、果物などない北の地に たわわになる美味しい「実」。 おじいちゃんは「お前たちが、よその家のものを盗んで食べたりしないように」植えてあるのだと教えてくれた。

グスベリ(グーズベリー)グミも、孫のために植えているものだったのだ。

スモモの木がある家は、それは孫がいると言うこと。

つまり、その家には未来があると言うことだ。

その未来も、変わりゆく時代の諸事情で離農せざるを得ない家も出てきた。

近代農業の象徴であったサイロさえ いつしか無用のものになった。

春になると、朽ちた家と使われていないサイロに寄り添い 真っ白な花が咲く。

秋には、誰も拾ってくれない実を二百十日の風が落とす。

<朽ちてゆく光陰のあり花すもも>2004年作

<父祖の地のぬくみ集めてすもも咲く>2012年作

(俳誌 樺の芽 2016 5月号)

(1)スモモとサイロ (豊富町)

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(2)スモモと廃屋(豊富町)

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2016年4月 1日 (金)

(28)「蝦夷立金花」(エゾノリュウキンカ)

エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)(キンポウゲ科) 花期4月~5月ごろ

「エゾノリュウキンカ」だなんて、誰も呼ばないくらい「ヤチブキ」のほうが馴染み。

この花は、稚内市、豊富町、幌延町、猿払村、浜頓別町、近隣の町村の谷地には、どこにでもある。それも広大に、数多く。

花は、本当に「黄金色」と言っていいほどの鮮やかな黄色。 花も綺麗だが、冬の間、青い野菜が欠乏していた人たちにとって 雪解けと共に 谷地に現れる美味しい食用山菜。

ギョウジャニンニクとヤチブキは、山菜の王と女王と言われている。

フアンが多いギョウジャニンニクは「王」かな?

花が美しいから、ヤチブキは「女王」かな?

おひたし、酢味噌和え、味噌汁の具、油炒め、これが出てくると、売っているホウレンソウなんて食べる気がしないくらいだ。

この、こちらでは どこの谷地でもあるエゾノリュウキンカ。 釧路に行って驚いた。 地元の人が「ヤチブキ」と呼んで採って来たのは、どうも違う。 よく見ると それは「エンコウソウ」(猿猴草)だ。 花はよく似ている。エゾノリュウキンカよりは葉が小さいように見えた。 それに立金花は、茎が立っているが、エンコウソウは茎が横に伸びている。 食べてみると 食感も少し違う。これは、これで美味しかったが。

エンコウソウは、稚内市から 少し南の「中川町」とかにはある。 そこは、エゾノリュウキンカとエンコウソウが両方あった。

雪の中で「春を待つ」と言うことは、この「ヤチブキ」を待つことだ。

(俳誌 樺の芽 2016 4月号)

↓(1)(エゾノリュウキンカ)(稚内市)

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↓(2)(エゾノリュウキンカの群落)(豊富町)

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2016年2月28日 (日)

(27)「蔓人参」(ツルニンジン)

ツルニンジン(蔓人参)(キキョウ科) 花期8月~9月ごろ

別名「ジイソブ」ジイは爺、ソブはそばかす?

野草などに絡まって、2メートル以上に伸びる蔓性の植物。

根は、韓国などでは漢方薬「四葉参」として有名なのだそうだが、こちらでは誰も見向きもしない存在。可愛い花だが、匂いは、いい匂いと言えない。

私の生家のあたりに この花は咲く。ヨモギやヨシの生い茂る野草地に。

妹たちが「臭い花がある」と この花を見つけて教えてくれた。

この野草地を抜けると浜に出ることが出来るので、近道として 私たちだけが通る「子供道」が、しっかりとついている。

子供たちは、放牧している牛を牛舎に集める仕事を任されている。

方言だと思うが「お前たちのわっぱくだよ」と、親たちに言われている。

学校から帰ってきてから、野山で どんなに楽しく遊んでいても「あ、牛ぼい(牛追い)の時間だ」と、誰かが言い出す。

西空がうっすらと茜色になるのが合図の時間。

子供道は獣道でもある。

走って登る小高い丘。

その丘から見える海と利尻富士が夕焼けに染まる。

その美しさに子供ながら溜息が出たものだ。

なんか、素晴らしい わっぱくだったのを思い出す。

この花を見つけると、一気に あの自然児時代が目に浮かぶ。

(俳誌 樺の芽 2016年2月号)

↓(1)蔓人参 (幌延町)

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2016年2月 2日 (火)

(26)「立擬宝珠」(タチギボウシ)

タチギボウシ(立擬宝珠)(ユリ科) 花期7月~8月ごろ

サロベツ原野は、エゾカンゾウが 7月の中旬にはすっかり終わってしまう。急に原野は華やかさがなくなる。その終わった後に、派手さはないが このタチギボウシは咲く。

この花も、見事な年がある。だが、旧木道(今は、湿原センターとして2011年に移転した)の近くには少なく、はるか遠くの地平線を薄紫に染めているのがタチギボウシ。

それは、なかなか肉眼では 気づかない遠さだ。

みんなにも見せたいなぁ。おせっかい精神が疼く。

それで、長年、サロベツをフィールドに活動してきた ベテラン女子?5人が立ち上げた「オバパワー倶楽部」。

1年に数回 花の季節に観察会を開催すると言うもの。

その行事の一つとして このタチギボウシの開花期に「サロベツに薄紫の風が吹く」と、言うポスターを作成し、ビジターセンターに貼って貰い、木道にフィールドスコープを立てて、この見事なタチギボウシの大群落の地平線を見ていただくと言う シンプルな観察会だ。

通りがかりの観光のお客さま方に「ちょっと覗いて見て下さい」と、お誘いする。       それは「ラベンダーのように植えたものではなく まったくの自然のものである」ことを力説。  スコープを覗いた人の驚きの表情が 企画した者として とても嬉しい瞬間だ。

オバパワーの観察会は、まだ観光シーズンが始まったばかりの早春「ミクロの春を探せ!」と、虫眼鏡などを使用して大々的に?やっているが、このタチギボウシの観察会は、今までに一度しかやっていない。

オバたちは、各地域のリーダー的存在なので それぞれに忙しく 一堂に揃うことが難しくなってきている。リクエストがあればやってもいいかなぁ。

(俳誌 樺の芽 2016 1月号)

↓(1)タチギボウシの花(豊富町)

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↓(2)タチギボウシの大群落(豊富町)

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↓(3)(遠くのタチギボウシの群落を観る人)(豊富町)

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2016年1月 2日 (土)

(25)「峠蕗」(トウゲブキ)

トウゲブキ(峠蕗)(キク科) 花期8月ごろ

草丈30センチぐらい。草原でも、小高い山にでも どこにもある。とは言え ないところにはまったくない。何故かなぁと思うときがある。
強いて言えば、海岸が近いところに多いかも知れない。

本州の人は「石蕗」(ツワブキ)に似ていると言いますね。

私の住む稚内市からは、車で1時間もすれば猿払村に行くことが出来る。

オホーツクの海岸に沿ってエサヌカと言う広大な原野がある。ただただ、まっすぐな道路と海の間に、そのトウゲブキの大群落は延々と続く。

そこには、オホーツクの青い海と、大きな空と、黄色い花が咲くだけだ。

どれもダイナミックだ。

猿払村の隣の浜頓別町では、5年ほど前から「北オホーツク100キロマラソン」を実施することになり、折から浜頓別町に赴任していた娘が、いきなり走ると言い出した。

このトウゲブキの咲く、まっすぐな道路(6キロぐらいも直線)も マラソンコースになった。

このエサヌカが大好きでいつも遊びに行っていた私は、応援と称して喜んでランナーと花と海の写真撮影に行った。

(俳誌 樺の芽 2015 12月号)

↓(1)トウゲブキの群落(猿払村)

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↓(2)エサヌカの直線道路とランナー

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2015年12月15日 (火)

(24)蝦夷禊萩 (エゾミソハギ)

エゾミソハギ(蝦夷禊萩)(ミソハギ科) 花期8月ごろ

ちょうど、旧盆の八月ごろに咲くので「盆花」と呼ばれている。

子供の頃、いつも、おばあちゃんに「お墓に行くから盆花とってきて」と、言われていたので この花のことはよく知っている。

私も、妹たちも どこに行ったらエゾミソハギがあるのか 菖蒲湯に入れるショウブは どこに行ったらあるのか、お正月の「繭玉」に使うミズキはどんな木なのかを小さいときから知っていた。

ミソハギは「禊」の「萩」の略なのだそうです。この花は、おばあちゃんとの想い出の花だ。

私の生家の近くには、このエゾミソハギの大群落があった。バックには海と利尻山。

あんな大群落は、ほかには あまり見たことがない。 格好の撮影ポイントになっていたのに 今はない。

侵食が進み、この群落地に海水が入ってしまったのだ。 群落地だけでない、漁村一つが侵食のため もう50年ぐらい前から消えてしまったのだ。 私と友人たちの遊び場だった村だ。

今は、利尻礼文サロベツ国立公園の一角にある「こうほねの家」「浜勇知園地」として海浜性の花と湿地性の花が一堂に見られる観光の癒しのスポットになっている。

(俳誌 樺の芽 2015 10月号)

↓(1)エゾミソハギ

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↓(2)(浜勇知園地として観光スポットになっている「こうほねの沼」)

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2015年12月 1日 (火)

(23)糊空木(ノリウツギ)

ノリウツギ(糊空木)(ユキノシタ科) 花期7月~9月ごろ

木の丈は、2m~3mで、サロベツにあるのは1mぐらいのものもある。 木の皮の裏側にある、ぬるぬるした部分が 昔、和紙を漉くときのつなぎにされていたらしい。

北海道では、どこにでもあるがアイヌ語の「サビタ」の方が馴染みの名前。

花は中心部に小さく固まってある。 周りに大きな花びらのようにある白いのは「飾り花」と呼ばれている「がく片」。 これがよく目立つ。

この花を撮ろうとしたら 必ず蝶がいる。蝶を撮りたいときはこの花を探した方が早い。

サロベツの砂丘林は、松やミズナラなどの混成林だが、このノリウツギもけっこうある。

どの木よりもエゾシカに皮を剥かれているのはノリウツギとオオカメノキ。 

痛々しいほどだ。エゾシカも糊の部分が好きなのだろうか。

増え過ぎたエゾシカは、本当に困ったちゃんだ。

<白い花咲きて夏へと続く道>2015年作

(俳誌 樺の芽 2015 8月号)

↓(1)(ノリウツギ)(豊富町)

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↓(2)ノリウツギ(幌延町)

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2015年11月14日 (土)

(22)朴の木(ホオノキ)

ホオノキ(朴の木)(モクレン科) 花期6月~7月ごろ

この木を見上げて「ホオー」なんて感心していてはいけません。 「ホオノキ」ここまでが正しい名前です。

木の丈も高いのですが、その高いところに大きな径10cm以上もある大きな花をつけます。 開花したときは、山じゅうが華やかになります。

りんごにも似たよい香りを放ち、木の頂きで両手をひろげて まるで太陽を受けるかのように咲きます。

この花の咲くときが、北国にとっては 一番気持ちのよい季節とも言えます。

昔、父が山仕事などで山奥に行った帰りには 一輪採ってきて瓶に挿して窓辺においていた。 夜になって、その花を見ながら 酒をちびりちびりと飲んでいた姿を思い出す。

父はこの花が好きだったのだろうか。 私は、朴の花の句はよく作る。

そこには、父の若き日の姿がいつもある。

<朴の花山を見飽きることもなく>2006年作

(俳誌 樺の芽 2015 7月号)

↓(1)ホオノキ(稚内)

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2015年11月 2日 (月)

(21)綿菅 (ワタスゲ)

ワタスゲ(綿菅)(カヤツリグサ科) 花期(4月~5月)綿毛(6月末~7月ごろ)

春、雪が消えた湿原に逸早く目立たない黄色っぽい穂のようなもの、それが実は花なのです。

花の存在は、よーく注意をして見なければ 誰も気がつかない。

あの原野の地平線を真っ白にするワタスゲは、花が終わったあとの綿毛なのです。

サロベツを代表するこの花(綿毛)も、当たり年と そうでもない年もある。

当たり年は隔年でもなく、数年駄目な年もある。それは、なぜなのか分からない。

当たり年のときは、広い原野を幻想的な景色にしてくれる。

この綿毛の美しさを堪能するには、目線をグッと低くして逆光で見ることをお勧めしたい。

風に揺れる壮大なサロベツをご覧いただきたい。

ガイドネタですが「若いときは目立たない地味だった人、白髪になってから まぁ綺麗!と言っていただけるような ワタスゲ人生を目指しましょう」と、言うと 地味だった人?そうでなかった人?にも けっこうウケます。

<綿菅がつくる真白き地平線>2015

(俳誌 樺の芽 2015 4月号)

↓(1)ワタスゲの花 (豊富町)

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↓(2)ワタスゲの綿毛 (豊富町)

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↓(3)ワタスゲの群落(豊富町)

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