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2017年3月 2日 (木)

(36)「谷地梻」(ヤチダモ)

ヤチダモ(谷地)(モクセイ科) 花期7月~8月ごろ

ヤチダモは、愛想がない。春は、一番遅く葉が出て、秋は、葉も黄色く色づいたと思ったとたんに落ちてしまう。大木にもなる。

真冬の裸木になった姿が好きだ。

この北の果ての開拓の厳しさを誰よりも知っているかのような姿が。

枝先の太さが父の指のようにも見える。

父は、グローブのような大きな手で、大工仕事も、機械いじりも、何でも出来た。

私たちのスキーも橇も作ってくれた。

そんな太い指先なのに、細かいことも得意だ。芋堀りの時に使う籠もササタケを割って作る。

その、籠を網んでいる傍らの薪ストーブの上では母の作った芋だんごが焼けている。

ふるさとを想うとき、いつも この冬の光景が目に浮かぶ。

私たち(女8人に男1人)は、あの太い指で育てられたのだ。

晩年の父は、脳梗塞を煩ったのちも筋肉質の身体と太い指はそのままだった。

娘たちは、時々やってきては母に仕立てて貰う着物の話ばかりしている。

それを見ながらも、いつも何も言わず どっかりと椅子に座っている父。

娘たちの、他愛もないばかばかしい話が聞こえると 時々 小さく笑う。

明治452月生まれの父は、身長は 今で言う183cm以上はあった。 

着るものも、靴も 昔は特注だった。

その体躯は、最後に生まれたたった一人の男の子 弟がそっくりだ。

昨年5月 十七回忌を迎えた。

<裸木や病みても太き父の指>(1988年作)

<白玉や泣きごと見抜く実家の梁>(1989年作)

<漆黒の父が生きてる夏座敷>(1995年作)

<如月や椅子の軋みは父の音>(2016年作)

(俳誌 樺の芽 2017 3月号)

(1)冬のヤチダモ(幌延町)

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(2)夏のヤチダモ(幌延町)

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(3)ヤチダモの雄花(稚内市)(雄の木と雌の木がある)(雌花は、少し遅れて咲く)

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コメント

じわりと、いい文章ですね。

軋みの句、好きでした。

ヤチダモ、花について書くの忘れていました(^^)
冬のヤチダモを見れば、2月になれば、太い指の人をみれば父を思い出します。
あとは、思い出しませんが(^^)

笑わないで下さい。私ね、ヤチダモの花芽を長い間、むしこぶだと思っていたのです。
そして冬にどうして枝先に髭が下がってるのかも不思議だったのですが・・・最近、真実に辿り着きました。心に沁みる文章でした。

ヤチダモの花、今年こそ撮ります!
むしこぶ、よくつきますよね。面白いよね。

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